「ラブライブ!サンシャイン!!」小原鞠莉役や「邪神ちゃんドロップキック」邪神ちゃん役など、様々なアニメの声優としても活躍されている鈴木愛奈さん。9月16日発売の1stシングルに収録されている「繋がる縁 -ring-」という楽曲が本当にいい曲だったので、歌詞とメロディを紐解きたいと思います。
鈴木愛奈さん1stシングル「やさしさの名前」発売
9月16日(水)に、鈴木愛奈さんの1stシングル「やさしさの名前」が発売されました。収録されている楽曲は、TVアニメ『モンスター娘のお医者さん』ED主題歌「やさしさの名前」、強い意志を描いた歌詞をシンセサウンドに乗せた「月夜見Moonlight」、ウェディングソングの「繋がる縁 -ring-」の3曲となっています。
「やさしさの名前」は以前からYouTubeにてMVが公開されていましたが、残りの2曲は発売日になって初めて音源が公開されました。ただし、正確な歌詞はまだ発表されておらず、CDに封入されている歌詞カードを見て初めてわかるようです(2020年9月16日4時時点)。[2020.09.18追記 本日より歌詞が歌詞まとめサイト等で確認できるようになっています。]
鈴木愛奈 / やさしさの名前《Suzuki Aina - Yasashisa no namae》
本記事では3曲目の「繋がる縁 -ring-」について、感想を書き連ねようと思います。
どうして「繋がる縁 -ring-」はこんなにいい曲なのか
この楽曲は、正真正銘のウェディングソングです。鈴木愛奈さんによると、ファンから寄せられたお便りで、自身の存在がきっかけとなった結婚のお話を聞いている中で、それをいつか歌という形で祝福できたら、とスタッフの皆さんとお話しして完成したのが今回の楽曲とのことです。
歌詞全体を通して、鈴木愛奈さんが大切にされている言葉としてデビューアルバム「ring A ring」制作当時から挙げられていた「縁」「輪」「繋がる」「ring」といった言葉がちりばめられており、彼女らしい楽曲となっています。
「繋がる縁 -ring-」はウェディングソングでありながら、どこかその枠を超えたような壮大な印象を受けます。そこには、鈴木愛奈さんご本人の歌声・表現力はもちろんのこと、歌詞とメロディが大きく関わっていると思います。
一般的なウェディングソング
普通のウェディングソングの歌詞は、「結婚する二人の、永遠に幸せに暮らしていこうという誓い」など、結婚する二人の視点で書かれている場合が多いです。
例えば、Superflyさんの「愛をこめて花束を」や、木村カエラさんの「Butterfly」、Official髭男dismさんの「115万キロのフィルム」など。どれも新郎新婦の視点から歌われています。
Official髭男dism - 115万キロのフィルム［Official Audio］
「結婚する友人に向けて」という視点で書かれているウェディングソングはあまり多くありません。最近で言えば、西野カナさんの「Dear Bride」などですね。
西野カナ 『Dear Bride』MV(Short Ver.)
ここで、今回発表された鈴木愛奈さんの新曲「繋がる縁 -ring-」の歌詞を見てみましょう。
「繋がる縁 -ring-」歌詞
作詞：鈴木歌穂、PA-NON
作曲・編曲：ha-j、鈴木歌穂
出会えるなんて 奇跡じゃない？
こんなに 広い地球の中で
いつだってそばに いてくれたね
あなたは 大切な友達
誓いを立てる表情 輝いてるよ
長い 長い 道を歩き出した
二人に贈る心からの言葉
「ずっと ずっと 永遠に
幸せでいてね ほんと おめでとう」
あなたが笑っていてくれることが
泣いちゃうくらい とっても嬉しいの
“愛は 愛を 呼ぶ” と知った
私にとってもね 今日は特別な日
いちばん近くで 見てきたから
誰より 分かち合える喜び
思い通りの 未来が待ってる
願いを込めて歌う Wedding Song
光に向かうように 白い鳩が飛ぶ
いつも いつも ねぇ勇気をくれる
あなたに贈る心からの言葉
「ずっと ずっと 変わらない
あなたは私の 誇りなんです」
フラワーシャワー 目と目が触れ合った
言わなくても 想いが伝わるよ
『幸せだよ ありがとう』って
泣きながら笑うの …私も頷いた
愛からはじまるストーリー
世界に広がれ 笑顔作るために
たったひとつの 小さな輪がやがて
広がっていき 大きな愛になるよ
鳴り響いた鐘の音にも
「おめでとう」の気持ち乗せたい
誰かが誰かを想うそのたび
強く、優しく、また繋がる縁-ring-
“愛が 愛を 運んでゆく”
私こそありがとう
幸せをありがとう
Happy wedding Forever love
* 上記歌詞は音源を聞き取ってディクテーションしたものになるため、必ずしも正しいとは限りません。正確な歌詞がわかり次第訂正いたします。 [2020.09.18追記 正確な歌詞に訂正しました。]
結婚の祝福だけではない 〜繋がる縁〜
この歌は、結婚を迎えた友人へのメッセージとなっています。が、彼女はそれだけに留まらず、「"愛は 愛を 呼ぶ" と知った」と歌います。
「小さな輪がやがて 広がっていき 大きな愛になる」
「誰かが誰かを想うそのたび 強く、優しく、また繋がる縁-ring-」
「愛が 愛を 運んでゆく」
こうしたフレーズが表すように、彼女は友人の結婚を祝福するとともに、愛の力を、人が人を想う心は繋がっていくということを歌っているのです。
このように、結婚を心から祝う気持ちだけでなく、"繋がる縁" の大切さを歌詞に含んでいるからこそ、「繋がる縁 -ring-」はウェディングソングの枠に収まらない壮大な一曲となっているのでしょう。
2つのring
上述の通り、鈴木愛奈さんは「ring」という言葉を大事にされていますが、今回の楽曲で特にこの言葉にこだわっていらっしゃる理由はそれだけではありません。「ring」は、想いが繋がって広がる「輪」のことを指すと同時に、「指輪」のことを意味しているからです。
それを踏まえて歌詞を見直すと、ラスサビの「たったひとつの 小さな輪」は「結婚する二人の間にできた輪（繋がり）」を象徴する「結婚指輪」を表していて、その直後の「広がっていき 大きな愛になるよ」で、二人の愛が周りの人の愛に繋がったり、子供ができたらその子供から新たな幸せが周りの人たちに広がったりするということをうまく表現しているように思えます。深いですね……
韻を踏んで
サビの途中、「あなたが笑（って）」「フラワーシャワー」「誰かが誰か」で韻を踏んでいる場面も、技を感じます。
ラスサビへのメロディ
また、メロディも非常に練られています。
最初は結婚曲の神聖さを漂わせながら始まり、徐々に盛り上げていったところで、Aメロがギターの程よい軽快さでスタートを切ります。クラップ風の音でポップさを増したAメロは、鐘の音を合図に、やや抑えたBメロに移ります。迎えたサビでは、森の小道を抜けた瞬間目の前に海が広がっていくように、一気に音が開けていきます。そこには適度な軽快さと感動があり、非常に心地よいです。
2番を終えると、少しの間奏を経てCメロ「愛からはじまるストーリー 世界に広がれ 笑顔作るために」に入ります。ここは結婚行進曲をアレンジした形になっていて、こだわりを感じられるポイントです。
ここを抜けると、穏やかに、静かに、最も重要なメッセージをこれから伝えるよ、という合図に入ります。ラスサビにつなげるための静寂ですね。
そして、ラスサビで盛り上がったところで、一番伝えたいメッセージを詰め込みます。その力は大きく、1番, 2番と積み上げてきた楽曲の全ては、このラスサビの土台を作るためにあったと言っても過言ではありません。最高の構成で最高のメッセージをここで伝える……！そのための4分間だった……！そんな印象を受けました。
最後は "Happy wedding Forever love" という言葉で、非常に美しい締め括りになっています。
感謝の辞
ここまで記してまいりました通り、「繋がる縁 -ring-」は本当に素晴らしい楽曲です。鈴木愛奈さん、鈴木歌穂さん、PA-NONさん、ha-jさん、およびスタッフの皆様、このような楽曲を私たちのもとに届けてくださり本当にありがとうございます。
