ラブライブノート lovelive note

Lovelive is one of the best "art"s of Japan. どうか、多くの人に届きますように。

"ふわりP"さんに出逢うために、ラブライブ!を追いかけてきたのかも

 いつもありがとうございます、ピカさりべです。

作曲者さんを調べるきっかけ

 みなさんは、楽曲を聴いた時に誰が作曲されているか調べることがありますか?

 私は元々シンガーソングライターの方の曲を多く聴いていたので、作曲された方を調べることがあまりなかったのですが、2年前(2019年1月)にラブライブを知ってからは歌詞を調べるときに作曲者のお名前も確認させていただいることが多いです。

 ラブライブ!シリーズでは同じ方が何曲も担当されていることが少なくないため、「近い雰囲気の楽曲だな〜」「メロディ展開が似てるな〜」と思って調べると同じ方が作曲されていたというパターンも多いです。たとえば、メロディが近い『きっと青春が聞こえる』『夢なき夢は夢じゃない』は高田暁さん作曲で、盛り上がり曲の『No brand girls』『Awaken the power』は河田貴央さん作曲です。

https://www.lovelive-anime.jp/otonokizaka/img/release/cd_20a.jpg

ラブライブ!声優陣のソロ活動

 2年前にラブライブ!サンシャイン!!の劇場版から入ったラブライブ!の世界ですが、半年程度でアニメ、ライブ、ラジオ、スクフェスなど主要なメディアを履修し終えると、興味はキャスト陣のアーティストとしての活動へと移っていきました。

 斉藤朱夏さん、鈴木愛奈さんのお二人のデビューアルバムに始まり、内田彩さん、新田恵海さん、南條愛乃さん、飯田里穂さん、久保ユリカさんの楽曲を聴くように。その後も、サブスクが解禁されてからは逢田梨香子さん、虹ヶ咲の展開が本格化してくるにつれて楠木ともりさん、鬼頭明里さんの楽曲も聴くようになりました。*1

三森すずこさん

1stアルバム「好きっ!」

 そんな中で、三森すずこさんの楽曲を好きになるまでには一番時間がかかりました。というのも、申し訳ないのですが、最初に聴いた1stアルバム「好きっ!」(好きっ【通常盤】 - YouTube)に収録されている楽曲のジャンルが肌に合わなかったからです。

f:id:sugiryot:20210308161752p:plain 

 2014年4月2日リリースで、Apple Musicで必聴アルバムとされているこのアルバムは、紹介文にある通り「すがすがしさ」が目立つ「ラブソング」と「リスナーに元気」を届ける楽曲を多く収録しています。やはりこのコンセプトは、しっとりとしたバラードで歌詞の良さを味わえる楽曲や、ミュージカルのような音の盛り上がりが胸にぐっとくる楽曲を好む人には少し合わないかなという印象で、『ユニバーページ』だけを聴いて他のアルバムは聴かずじまいになっていました。

デビュー5周年を目前に発売されたアルバム「holiday mode」

 しかし、それから半年近く経ってから別のアルバムを聴いて、印象がガラリと変わりました。それが2019年2月20日にリリースされていたミニアルバム「holiday mode」です。

f:id:sugiryot:20210308161600p:plain 

 三森さんご本人がインタビュー

1stシングル「会いたいよ...会いたいよ!」でデビューして以来、若々しさがある楽曲を歌うことが多かったんですけど、5周年を迎えてみて、自分の年齢感に合った曲も歌えたらいいなと思うようになりました。ソロの楽曲はその時々の自分らしいのものをお届けしたくて、今回は大人が息抜きをしているような曲も入っています。

と語られていた通り、ほどよいポップさを保ちながら静かで大人な空気を宿したアルバムになっています。

 1曲目の『tulutu...』から「旅に出るときのワクワク、静かに心が高まっていく気持ちを歌った幻想的な曲」で一気に惹き込まれるほか、『星屑のカーテン』も深遠な夜空が目に浮かぶロマンチックな楽曲で聞き入ってしまいます。

 極め付けは『Precious days』でした。

 三森さんご自身がミルキィホームズの10年間の活動を終えるにあたっての思いを詞にされた楽曲です。

CDがリリースされる2月頃の自分を思い描いて、その頃の私はお休みの日にどんなことを考えたりしてるのかなって想像してみたら、1月末に「ミルキィホームズ」のファイナルライブが終わったばかりの頃なので、そのライブのことやミルキィの思い出を振り返っているんじゃないかと。じゃあ、ミルキィの曲にしようと思いました。(同インタビューより)

 10年をともに過ごしたファン、スタッフ、そしてメンバーとの別れは当然切ないものですが、別れを歌ったラストシングルB面『そして、群青にとけていく』についてのインタビューで、三森さんの姿勢が表れています。

「また復活するかも」と淡い気持ちをいっさい抱かせないようにはっきり伝えるようなところもミルキィのいいところだから。大切なものとお別れするときって、また手に入るかもと思うよりも、しっかりお別れに向き合ったほうが気持ちの整理がつきやすいし、前に進めると思うから。(ラストシングルリリース時のインタビューより)

 だからこそ、「同じ時を、同じ夢を過ごした仲間」への想いを、三森さんなりの「さよなら」を、この『Precious days』に込めたのでしょう。

Precious days
青春
Precious friends
ありがと
いろんな冒険のアルバム
どれも楽しいとっても笑えちゃうはずなのに
なぜなの(それだけで)胸がキュンと涙
それぞれ溢れる想いが shining

 
Precious days そして、群青にとけていく

おもちゃ箱の物語「Toyful Basket」

 「holiday mode」でみもりんワールドに惚れ込んだ私は、次にライブ視聴映像を見てみることにします。


三森すずこ 『MIMORI SUZUKO LIVE TOUR 2016 “GRAND REVUE” FINAL at NIPPON BUDOKAN』 Blu-ray&DVD PV

 ここで三森さんがアカペラで歌っていらっしゃった『My First Lesson』に感動し、この楽曲をフル尺で収録している3rdアルバム「Toyful Basket」を聴くことにしました。

f:id:sugiryot:20210308165858p:plain 

 このアルバムは題名通り「おもちゃ箱」がテーマになっており、楽曲から上のライブに至るまで世界観が統一されています。

2ndアルバム「Fantasic Funfair」のときは遊園地だったり、3rdアルバムの「Toyful Basket」の時はおもちゃ箱だったりと、しっかりとした物語を作っていました。それに向けてアルバムとライブとセットで、ストーリーや楽曲を決めていくという流れだったんです。(4thアルバム「tone.」リリース時のインタビュー

 と語られているように、三森さんのアルバムはコンセプトがしっかりしているものが多く、アルバムを通しで聴くと魅力がより際立つということを肌で感じました。

2ndアルバム「Fantasic Funfair」

遊園地の物語

 「Toyful Basket」で三森さんのコンセプトアルバムに興味が湧いた私は、「遊園地」をテーマにした2ndアルバム「Fantasic Funfair」を聴いてみることにしました。

f:id:sugiryot:20210308173110p:plain 

 最初に出てきたのは、素晴らしかったの一言でした。それぞれのピースがそれぞれの色で輝いていて、それが11個正しい場所に*2並べられて「遊園地」というパズルが完成している、そんな作品です。

 楽しい曲だけではなく、色々なテイストの曲が「遊園地」を形作っているのがとても面白いところです。

ある男の子と女の子が遊園地デートをする1日を、それこそ「グリース」的というか、ミュージカルや物語のように追いかけるアルバムにしたかったんです。で、物語である以上、楽しいことばっかりじゃつまらない。1日のうちにいろんなことが起きたほうが物語が面白くなるだろうな、と思ってこういう選曲にしてみました。(リリース時のインタビュー

 たとえば「Heart Collection」は、1stアルバムからは想像もつかない不気味な部分と惹かれる部分が表裏一体になっている楽曲で、「遊園地」の中の「お化け屋敷」というコンセプトがあってこそ成り立っている部分だと思います。

「Traveling Kit」にしても「Heart Collection」にしても「ファンタジー」「移動式遊園地」っていうコンセプトがあったからこそ歌えた楽曲で。おっしゃる通り、これまでの三森すずこっぽい楽曲とは違うので、これをなんのコンセプトもなしに唐突に歌い出したら「どうした!? 三森!」って思われたと思うんですよね(笑)。(中略)確かに「ルールやコンセプトがあったほうが逆に自由にいろんなことができるんだなあ」っていう発見がありました(笑)。(同インタビューより)

『ちいさな手と観覧車』

 そして、「Fantasic Funfair」最大の山場は、9, 10曲目の『ハーモニア』『ちいさな手と観覧車』です。ここはぜひ直接聴いていただいて、先入観なしにさまざまなものを感じ取ってほしいです。

 
ハーモニア ちいさな手と観覧車

 いかがでしょう?

 私は最初は『ハーモニア』ばかり聴いていたのですが、何度もアルバムを通しで聴いているうちに『ちいさな手と観覧車』のイントロやCメロ以降の盛り上がり方に底流するどこかミュージカルのような独特の高揚感の虜になってしまって…

 三森さんご本人はこの『ちいさな手と観覧車』について次のようにコメントされています。

三森:「ハーモニア」でちゃんと思いを打ち明けることができて、幸せいっぱいになって。ちょうどその頃、夜になっちゃったから「じゃあ」ってことで「ちいさな手と観覧車」に乗ったら、窓から見える夜景がキレイで、超ロマンチック!みたいな感じ。「まわりだした世界は きっと あすへと 続く」って感じに……。

──ならないですよね、この曲(笑)。

……はい(笑)。

──確かに歌ってることは明日への希望だし、メロディ自体はロマンチックではあるんだけど……。

どんどん転調しまくって(笑)。

──ストリングスは何かを追い立てるようにシンコペーションしまくって(笑)。実は100%ハッピーではない、すごく不思議な曲ですよね。(中略)

お気付きでしたか(笑)。まさに「三森ファンタジーランドにようこそ」っていう感じの曲なんですよね。「ちいさな手と観覧車」は、おっしゃる通り、先へ先へと進んでいく感じのするストリングスに、迷路に迷い込ませるような印象を受けたから選ばせてもらった1曲で。

 なるほど、気づかないうちに迷路に迷い込んでしまった。言われてみればそんな感じもしてきました。いや、まさに迷路ですね。

 とにかく、こんな独特の高揚感を持った音楽を創り出された方はいったいどなたなんだろう?他に同じような曲があったら嬉しいな!と思って調べたところヒットしたのが "ふわりP" さんでした。

ふわりPさん

 ふわりPさんとはどんな方なのか、調べてみました。

HP「ふわりPだよっ☆」

f:id:sugiryot:20210309094845j:plain

主にVOCALOIDを使用してオリジナル楽曲を制作。
豊かなメロディと心に響く楽曲が特徴的。
ニコニコ動画等で活躍中。
2011年1月19日発売「EXIT TUNES PRESENTS Vocalonexus feat.初音ミク」の19曲目に『またあした』が収録される。
(オリコンウィークリーチャート1位獲得)

他、TVアニメ「ゆゆ式」の主題歌『せーのっ! feat. ふわりP』(歌 - 情報処理部(大久保瑠美、津田美波、種田梨沙))や声優三森すずこの2ndアルバム「Fantasic Funfair」(4/8発売ポニーキャニオン)に楽曲提供する等ボーカロイドシーン以外でも活動の幅を広げる。
2014年9月3日にメジャー1stボカロアルバム「ふわりPだよっ☆~ゆめのかたち」 をリリース。

ニコニコ大百科「ふわりP」

概要

豊かなメロディと心に響く歌を発表しているP。デビュー曲の『きらり』以降、曲を発表する度に高評価を得つつ再生数は伸びていなかったが、4作目の『またあした』が10万再生を超えるヒット。その曲の素晴らしさが広く知られた。(中略)

さらに、2011年9月22日には映像作家であるyama_ko氏との【ねがいごと】のコラボ動画が上げられており、FRENZ_2011への出展作品になっている。(以下略)

作風

豊かなメロディと心に響く編曲が特徴。しっとりした歌、うきうきする歌、わくわくする歌、歌に合わせた編曲が巧みで歌が聞く人の心にたっぷりと届いてくる。身近にある日常の風景、人と人とのつながり、絆、縁などを歌った曲が心地よく心に響いてくる。動画内では、その優しい歌に共感した人のコメントが溢れており、コメント表示推奨と書かれる。よって、コメント含めて、ひとつの作品になっている。

 (あれ?この記事見たことある気が。これ読んで『ねがいごと』のMVの冒頭見たことあるような?)と思ったんですが、前に三森さんの楽曲の作曲者をまとめて調べた時に、ボカロPの方がいらっしゃる!と気になって調べた、とかだったのでしょう。

 「豊かなメロディと心に響く編曲」に期待を膨らませ、Apple Musicでアーティスト名が「ふわりP」となっている楽曲を軒並みDLし、シャッフル再生をかけました。

 ……一気にふわりPさんの世界が、『ちいさな手と観覧車』で見えかけていた世界が広がりました。まだニコニコ動画やYouTubeでしか聴けない曲など聴けていない曲も多いですが、特に『ゆめのかたち』がめちゃくちゃに良いです。ラストが痺れました。


【ボカロ8人(8 Vocaloids)】ゆめのかたち(Yumeno katachi)【ふわりP(FuwariP)】

飯田里穂さん -『ひかりのさきへ』

 ふわりPさんの楽曲を流し続けていたところ、ある楽曲でこんなことを思いました。

(あれ?どうして?このメロディ、聴いたことがあるような気がする……知ってる?私)

 再生画面を確認すると『ひかりのさきへ』、CDジャケットに「魔法少女オーバーエイジ」の文字が。魔法少女オーバーエイジ、たしか飯田里穂さんが出演されていたような気が!

 すぐにWikipediaに飛ぶと、やはり「登場人物」欄に飯田里穂さんのお名前があり、久坂そらの役で出演されていました。そして、一つ下の「音楽CD」欄に

5. ひかりのさきへ
 歌:久坂そらの(飯田里穂)
 作詞・作曲:ふわりP

とありました。刹那、雷に打たれたように全てが脳内で繋がって、心に強く響いて、涙が滲んでしまいました。

 あれは去年の、たしか紅葉が色づきはじめたころ。新田恵海さんのオンラインライブでキャラクターソングが披露されたことを知って、(そういえば飯田里穂さんの楽曲はよく聴くけれど、キャラソンを聴いたことはあまりなかったな*3)と思い、Apple Musicで検索をかけていました。このとき、セルフカバー前の『ユメノツバサ』/ 流華・ソバガスキーや、鈴木愛奈さんも参加されている『上々↑↑GAO!!』/ かぷせるがーるずと一緒に、『ひかりのさきへ』/ 久坂そらのも初めて聴いたのでした。当時は嵐のように移りゆくメロディに圧倒されてしまってほとんど聴いていなかったのですが、あのとき既に作曲された "ふわりP" さんのお名前を調べて知っていたのだと思います。

 
ひかりのさきへ(Vocaloid Version) ひかりのさきへ

 ラブライブ!に出逢って、声優さんたちの活動を知って、三森すずこさんの『ちいさな手と観覧車』という楽曲に出逢い、今日になってようやく、久坂そらのとして飯田里穂さんが歌われている『ひかりのさきへ』の素晴らしさに、そして「ふわりPさんの手で生み出された楽曲」の素晴らしさに気づくことができた。こんなに心打ち震えることがあるでしょうか。

 今日2021年3月8日は、"ふわりP" さんに出逢えた、私にとって本当に素敵な記念日になりました。

*1:お名前を出していない方申し訳ありません。

*2:特に、最後の『Wonderland Love』がこの位置にあることに、大きな意味があります。

*3:凛ちゃんとペルちゃん以外は