ラブライブノート lovelive note

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千歌の言葉が始まりと終わりで違うのはどうして?

 はじめまして、ピカと申します。

 昨日6月30日はAqoursの結成記念日でした。この日を祝して、Aqoursに関する考察記事を投稿したいと思います。

 考察のベースは2020年9月あたり*1には完成していたのですが、細かい部分を詰めていく中で、現在まで温める形となっていました。

 テーマは「千歌の言葉が始まりと終わりで違うのはどうして?」です。6月12日放送の第3回ラブライブ!学会キャスに来られた方には少しお話しした、あの話題です。現在の進捗状況をしっかりと整理し、このテーマの共同研究をもう一歩先に進めるきっかけにしたいと思います。

twitcasting.tv

同じではない千歌の言葉

 TVアニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」の、1期1話冒頭と2期13話終盤。「普通の私の日常に」から始まる、千歌のセリフを比べてみます。

【ラブライブ!サンシャイン!! 1期1話冒頭】

 普通な私の日常に、突然訪れた奇跡。何かに夢中になりたくて、何かに全力になりたくて、脇目も振らずに走りたくて、でも何をやっていいかわからなくて、くすぶっていた私の全てを、吹き飛ばし、舞い降りた…それが…

【ラブライブ!サンシャイン!! 2期13話 Bパート】

 普通な私の日常に、突然舞い降りた奇跡。何かに夢中になりたくて、何かに全力になりたくて、脇目も振らずに走りたくて、でも何をやっていいかわからなくて、くすぶっていた私の全てを、吹き飛ばし、舞い降りた…それは…その輝きは

 1期1話の冒頭と、2期13話の終盤。もっとも大事な場面と言っても過言ではないところで微妙な違いを持たせたというのは、きっと何か理由があるはずです。

 その理由を、解き明かしていきたいと思います。

流れ図

 とりあえず、流れ図を置いておきます。説明は次の章からになっています。多少複雑な説明になるので、混乱した時にここに戻ってきてください。

シーン名 話数・パート 場所 状況説明 セリフ 劇伴音楽
Scene-1 1期1話・アバン前半 教室 浦の星女学院に梨子が転校してきた場面 普通の私の日常に、突然訪れた奇跡。 桜色の風
Scene-2 1期1話・アバン後半 秋葉原 風に飛ばされたチラシを追いかけた千歌がモニター前にたどり着き、スクールアイドルの輝きに初めて出会う場面 何かに夢中になりたくて、何かに全力になりたくて、脇目も振らずに走りたくて、でも何をやっていいかわからなくて、くすぶっていた私の全てを、吹き飛ばし、舞い降りた…それが…! 舞い降りた奇跡
Scene-1' 1期1話・21:05〜21:13
※「決めたよHand in Hand」直前①
教室 浦の星女学院に梨子が転校してきた場面 今日から、この学校に転入することになった… 桜色の風
Scene-3 1期1話・21:14〜21:37
※「決めたよHand in Hand」直前②
教室 浦の星女学院に梨子が転校してきた場面 (くしゃみ)
失礼、東京の音ノ木坂という高校から転校してきました、
(ん?)
(わぁ〜)
桜内梨子です。よろしくお願いします。
(わぁ〜)
奇跡だよ!
あ、あなたは!
小さな奇跡
Scene-4 1期1話・21:38〜21:46
※「決めたよHand in Hand」直前③
教室 浦の星女学院に梨子が転校してきた場面 (無音)
それが、全ての始まりだった!
なし
Scene-5 2期13話・19:03〜19:25
※「WONDERFUL STORIES」直前
校舎屋上〜講堂 紙飛行機を拾い、高海千歌による独白
校舎を抜け、講堂へと走る場面
普通な私の日常に、突然舞い降りた奇跡。
何かに夢中になりたくて、何かに全力になりたくて、脇目も振らずに走りたくて、でも何をやっていいかわからなくて、くすぶっていた私の全てを、吹き飛ばし、舞い降りた…それは…その輝きは!
私たちの輝きはそこに

物語の始まり


ラブライブ!サンシャイン!! #1 輝きたい!!

 物語は、浦の星女学院に梨子が転校してきた場面からスタートします。このシーンをScene-1と呼ぶことにします。Scene-1における劇伴音楽は「桜色の風」で、セリフは「普通な私の日常に、突然訪れた奇跡」です。劇伴音楽まで振り返っている理由は後でわかるので、一旦そういうものとしてお見過ごしください。

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▲ラブライブ!サンシャイン!! 1期1話 アバン(Scene-1

 Scene-1が終わると、舞台は秋葉原に移ります。風に飛ばされたチラシを追いかけた千歌がモニター前にたどり着き、スクールアイドルの輝きに初めて出会う場面です。このシーンをScene-2と呼ぶことにします。Scene-2における劇伴音楽は「舞い降りた奇跡」で、(回想視点の)セリフは「何かに夢中になりたくて、何かに全力になりたくて、脇目も振らずに走りたくて、でも何をやっていいかわからなくて、くすぶっていた私の全てを、吹き飛ばし、舞い降りた…それが…!」です。

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▲ラブライブ!サンシャイン!! 1期1話 アバン(Scene-2

 このように、1文目と2文目以降の間、つまりScene-1Scene-2の間で、劇伴音楽も映像も大きく変化していることがわかります。

クライマックス

 次に、2期13話のシーンを振り返ります。

 2期13話のBパートは、①紙飛行機を安田屋旅館前の砂浜から投げた後、②校舎にたどり着いた千歌が、③蘇ってくる昔の記憶を辿りながら屋上へ向かい、④紙飛行機を拾い上げ、⑤「私は嘘つきだ。泣かないって決めたよね、千歌。どうして、思い出しちゃうの?どうして、聞こえてくるの?どうして?どうして?」と語ったあとに、⑥講堂の方から(いないはずの仲間たちの)声が聞こえて、⑦屋上を離れ講堂へと向かい、⑧「WONDERFUL STORIES」に入る という流れです。

 この中で、「普通な私の日常に」から始まるセリフがあったのは、⑦の部分です。

 普通な私の日常に、突然舞い降りた奇跡。何かに夢中になりたくて、何かに全力になりたくて、脇目も振らずに走りたくて、でも何をやっていいかわからなくて、くすぶっていた私の全てを、吹き飛ばし、舞い降りた…それは…その輝きは

 「その輝きは!」でちょうど講堂の扉が開く、というタイミングになっています。

 劇伴楽曲は「私たちの輝きはそこに」です。(が、こちらの劇伴についてはまだ考察が進んでいません。)

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▲ ラブライブ!サンシャイン!! 2期13話 Bパート

どう考える?

 さて、この微妙な違い、皆さんならどう考えますか?

 僕は最初ここで唸っていたんですが、どなたかのサンシャイン1期1話の考察記事を読んでいる時に突破口が浮かびました。

 そういえば、梨子が転校してきたシーンって、1話の中でもう一回描かれてましたよね。そこ、見に行きましょう。

2度描かれる、梨子の転校

 そう、1期1話には、Scene-1が再び描かれている場面があるのです! (以下のリンクを押していただければ、ちょうどその場面から再生されます)。「決めたよHand in Hand」の直前ですね。


ラブライブ!サンシャイン!! #1 輝きたい!!(21:05〜)

 この動画は、Scene-1と全く同じ、「教室に入ってくる梨子と、その姿を見た千歌」のシーンからスタートします。劇伴音楽も同じ『桜色の風』です。このシーンをScene-1'と呼ぶことにします。

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▲ ラブライブ!サンシャイン!! 1期1話 Bパート(Scene-1'

 『桜色の風』が流れ終わりScene-1'が終わると、一瞬の無音を挟んで新たな劇伴音楽『小さな奇跡』が流れ始めます。この劇伴音楽『小さな奇跡』が流れている間の場面をScene-3と呼ぶことにします。

 Scene-3は、映像としては1年生と3年生が連続で映されてから教室に戻る形を取っていますが、セリフはずっと教室内を追っていて、くしゃみをした梨子が「失礼、東京の音ノ木坂という高校から転校してきました、桜内梨子です。よろしくお願いします」と話し、それを見た千歌が立ち上がって「奇跡だよ!」と手を差し出します。これを受け、梨子が「あ、あなたは!」と答えます。

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▲ ラブライブ!サンシャイン!! 1期1話 Bパート(Scene-3

 この後に劇伴音楽が8秒間完全になくなるのですが、そのシーンをScene-4と呼ぶことにします。

 Scene-4は、梨子が「あ、あなたは!」と答えた直後から始まります。ここからセリフも劇伴音楽もない状態が3秒続いた後、回想視点の千歌の「それが、全ての始まりだった!」という言葉を合図に、「決めたよHand in Hand」が流れ始めます。

 …説明しても、長すぎてわかんないですよね。とりあえず映像と表(再掲↓)で把握していただければと思います。

シーン名 話数・パート 場所 状況説明 セリフ 劇伴音楽
Scene-1 1期1話・アバン前半 教室 浦の星女学院に梨子が転校してきた場面 普通な私の日常に、突然訪れた奇跡。 桜色の風
Scene-2 1期1話・アバン後半 秋葉原 風に飛ばされたチラシを追いかけた千歌がモニター前にたどり着き、スクールアイドルの輝きに初めて出会う場面 何かに夢中になりたくて、何かに全力になりたくて、脇目も振らずに走りたくて、でも何をやっていいかわからなくて、くすぶっていた私の全てを、吹き飛ばし、舞い降りた…それが…! 舞い降りた奇跡
Scene-1' 1期1話・21:05〜21:13
※「決めたよHand in Hand」直前①
教室 浦の星女学院に梨子が転校してきた場面 今日から、この学校に転入することになった… 桜色の風
Scene-3 1期1話・21:14〜21:37
※「決めたよHand in Hand」直前②
教室 浦の星女学院に梨子が転校してきた場面 (くしゃみ)
失礼、東京の音ノ木坂という高校から転校してきました、
(ん?)
(わぁ〜)
桜内梨子です。よろしくお願いします。
(わぁ〜)
奇跡だよ!
あ、あなたは!
小さな奇跡
Scene-4 1期1話・21:38〜21:46
※「決めたよHand in Hand」直前③
教室 浦の星女学院に梨子が転校してきた場面 (無音)
それが、全ての始まりだった!
なし
Scene-5 2期13話・19:03〜19:25
※「WONDERFUL STORIES」直前
校舎屋上〜講堂 紙飛行機を拾い、高海千歌による独白
校舎を抜け、講堂へと走る場面
普通な私の日常に、突然舞い降りた奇跡。
何かに夢中になりたくて、何かに全力になりたくて、脇目も振らずに走りたくて、でも何をやっていいかわからなくて、くすぶっていた私の全てを、吹き飛ばし、舞い降りた…それは…その輝きは!
私たちの輝きはそこに

2度描かれる、"小さな奇跡"

 さぁ、これは激アツですね!どういうことかと言いますと…

  Scene-1'と Scene-1 が劇伴音楽と状況の点で全く同じ
→ Scene-1 は Scene-3, 4 に繋がっていると解釈できるのでは?

ということです。

 そこで、Scene-3 のセリフに注目すると、千歌が「奇跡だよ!」と言っています。ここで千歌が言っている奇跡は、梨子が転校してきたことですね。具体的に言うと、音ノ木坂出身の梨子が、浜辺で数日前に出会った梨子が、ピアノを習っていて(作曲ができると思われる)梨子が、転校してきたということを奇跡と言っているのでしょう*2

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▲ ラブライブ!サンシャイン!! 1期1話 Bパート

 とするならば、Scene-1' で千歌が言っていた奇跡は、その後の秋葉原のシーンにつながっているわけではなく、梨子の転校のことを指しているのではないでしょうか?

 これを裏付ける根拠として、劇伴楽曲の題名があります。Scene-3の劇伴音楽の題名は「小さな奇跡」です。小さな奇跡、があるということは、きっと大きな奇跡もあるはず。つまり、奇跡は1つではなく、このScene-3における奇跡 (=梨子の転校) 以外にも存在すると考えるのが自然です。Scene-3における奇跡以外の奇跡というのは、「普通な私の日常に、突然舞い降りた奇跡」あるいは「普通な私の日常に、突然訪れた奇跡」における「奇跡」として通常よく解釈されている(要出典)、「UTX学院前でμ'sに出会ったこと」であったり、「ラブライブ!優勝までに経験してきた全ての瞬間」であったり、さまざまな候補が考えられます*3。それと比較する形で、梨子の転校を "小さな奇跡" として描いているのだと考えられます。


www.youtube.com

梨子の転校という奇跡の異質性

 ところで、よくよく考えれば、1期1話の最初の場面になぜ梨子の転校シーンを挟み込んだのかという点から疑問ですよね。いきなり秋葉原でも良さそうな冒頭を、なぜ梨子のカットから始めたのか… この辺りは今後深めていきたい部分ですね。

 一つ考えられる話を書き残しておきます。これはラブライブ!学会(@LoveLiveAcademy)の運営メンバーで話していた際に、月さん(@rubymoon)がご指摘くださったことなのですが、「作曲ができる人を探していたときに、作曲ができる梨子ちゃんが転校してきたことって、すごい奇跡」ですよね。

 たしかに、他のできごとは千歌ちゃん(をはじめとするみんな)が懸命に走っているから起きた奇跡という感じです。秋葉原でμ'sに出会ったことも、千歌自身がカフェフレジエのチラシを追いかけたことで起きたので、自分で呼び込んでいます。

 そんな中、梨子の転校だけは、千歌の頑張りがあったから起こったというわけではありません。まさに突然 "訪れた" 「奇跡」だと、思えます。

"訪れた" "舞い降りた"

 さて、今までの部分で、1期1話の奇跡が異質であることは明らかにしてきましたが、結局それが "訪れた" 奇跡であるのに対し2期13話の奇跡が "舞い降りた" 奇跡である理由は、どうしてなのでしょうか?つまり、2つの表現が異なることの説明はつくとして、その形容表現はなぜ "訪れた""舞い降りた" なのでしょうか?

 この点については、依然分析不足の部分です。現時点では、前述の学会運営メンバーとのトーク中に話題になった、考察材料になりうる内容を記しておき、今後学会で共同研究を進める中で深めていきたいと思っています。

・"訪れた" という表現は人に使うことが多いのではないか、という考察がありました。「チャンスが訪れる」等の使い方もあるので上記の理論をそのまま適用することは難しいですが、「"訪れた" "舞い降りた" といった動詞に対応する動作主(主語・主体)は誰なのか・何なのか」を考えることは重要だと思います。

"舞い降りた" と聞いて想起されるのは、やはり「羽根」ではないでしょうか。μ'sの頃からラブライブ!シリーズで極めて重要な象徴として描かれ続けている存在です。「羽根」に関する理解を深めることが、今回の考察に活きてくるでしょう。「ラブライブ 羽根」で検索するとさまざまなブログがヒットするので、ぜひそちらの記事を拝読したいと考えています。

・羽根が "舞い降りた" のが、1期12話の根府川駅ホームであり、それ以前か以降かによって "訪れた" と "舞い降りた" を変えた可能性も考えられる、という話もありました。

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▲ ラブライブ!サンシャイン!! 1期12話 Bパート

"それが…!" "それは…その輝きは!"

【ラブライブ!サンシャイン!! 1期1話冒頭】

 普通な私の日常に、突然訪れた奇跡。何かに夢中になりたくて、何かに全力になりたくて、脇目も振らずに走りたくて、でも何をやっていいかわからなくて、くすぶっていた私の全てを、吹き飛ばし、舞い降りた…それが…

【ラブライブ!サンシャイン!! 2期13話 Bパート】

 普通な私の日常に、突然舞い降りた奇跡。何かに夢中になりたくて、何かに全力になりたくて、脇目も振らずに走りたくて、でも何をやっていいかわからなくて、くすぶっていた私の全てを、吹き飛ばし、舞い降りた…それは…その輝きは

 長々お話ししてきた奇跡の形容表現以外にも、異なる点がまだありました。1期1話では「それが…!」というセリフなのに対し、2期13話では「それは…その輝きは!」に変わっています。

 「輝き」が新たに登場したことについては、2期13話Bパート終盤時点で、輝きが「私たちが過ごしてきた時間の全て」*4だったという答えに千歌がもうたどり着いていたからだと思っていますが、いずれのセリフも回想視点の千歌による言葉である可能性が高いため、厳密には説明しきれていません。

 また、「が」が「は」に変わった理由はかなり難しいと思います。

 助詞の「は」と「が」の使い分けについて、以下の記事が詳しいのですが、(1)〜(5)までの5パターンもあり、5種類それぞれを今回のケースに照合する作業はまだ行えていません。

yousei.arc-academy.net

 さらに、両セリフの述語が明記されていないという部分がより難しさを増していると思います。

 2期13話の方は、「WONDERFUL STORIES」の間奏で千歌が語る「輝きとはなんだったのか?」というところに繋がると思うのですが、1期1話の方が難しいですよね…

 見上げたUTX学院のモニターに「LoveLive! second winner school idol」という文字が浮かび、チラシが画面を一瞬横切ったのをきっかけにOPに移行するという展開なので、
視界に忠実に考えても
・「舞い降りた…それが…μ's」と繋がる可能性も
・「舞い降りた…それが…ラブライブ!」と繋がる可能性もあり、
音声を中心に考えると
・「舞い降りた…それが…見たことない夢(の軌道)*5」と繋がる可能性も
・「舞い降りた…それが…ラブライブ!優勝*6」と繋がる可能性もあるわけです。

 要するに、いろいろな側面を考えないといけないので、かなり時間がかかりそうですね。今後じっくり取り組みたいと思います。

「30分でわかるラブライブ!サンシャイン!!」

 基本的な考察は以上で終わりなのですが、最後にこの動画についてふれておきます。


www.youtube.com

 この動画を何気なく見ていた時に、衝撃のシーンを見てしまいました。2:30あたりから抜粋すると、

(UTX学院前)
千歌「私も輝きたい、って!そんな時、舞い降りた、奇跡。」

(場面転換、教室へ)
梨子「桜内梨子です。よろしくお願いします。」
千歌「一緒にスクールアイドル始めませんか?」

という編集になっていました。

 この編集が公式解釈だとすれば、前半で展開した「梨子の転校 = 訪れた奇跡 ≠ 舞い降りた奇跡」論が完全に覆されてしまうことになるので、絶望していました。動画公開の時期も、劇場版公開を1ヶ月半後に控えた2018年11月18日公開ということで、しっかりと2期まで制作が完了した後だったため、無視できない資料でした。

 しかし、この「30分でわかる!」動画は、短い時間に全話のストーリーを詰め込まないといけないという構成上のタイトさから、若干無茶な編集をしている例があるとわかりました。

 次の3枚の画像はいずれもその動画の途中でスクリーンショットに収めたものですが、ルビィたちに出会う前に「Aqours」の文字が入ったバージョンのチラシを配るカットが挟まっているんですね。本来は、グループ名のないチラシを配る→ルビィたちに出会う→ルビィがグループ名を尋ねる→練習場所の砂浜でAqoursの文字を目にしてAqoursという名前に決まる→Aqoursという名前を載せたチラシを配るという順序なんですが、ナレーションの時間の都合などで順番を前後させたものと思われます*7

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 「30分で1期のストーリーの概要を把握できるように」という最大の目的を実現するために、多少の無理は目を瞑ろうという方針なんだと思います。実際、めちゃくちゃわかりやすいですからねこの動画…*8

 というわけで、この動画に「梨子の転校 = 訪れた奇跡 ≠ 舞い降りた奇跡」論と矛盾する箇所が生じていることも、Aqoursのチラシの件と同様の事象だと捉え、「梨子の転校 = 訪れた奇跡 ≠ 舞い降りた奇跡」論を否定するものではないと考えています。

最後に

 ここまで読んでくださった皆さん、ありがとうございました!長文ですみませんでした〜…

 そして、この研究に関わってくださっている全ての方、特にラブライブ!学会の皆様に、心から感謝の念を表します。本当にありがとうございます!

 今後も学会の仲間たちと一緒に、このテーマについてさらに考察を深めていきたいと思っておりますので、今後の展開にもぜひご期待いただければと思います。

 さらに、個人で取り組んでいるテーマについても、まだまだ発表したい内容がありますので、待っていてくださいね!

*1:TVアニメ「虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」1期の放送開始くらいです

*2:このうちどれが正しいというものはおそらくなく、いずれの部分も含めて奇跡と認識しているのだと思います。

*3:ここは今後詳しく掘り下げていきたい課題でもあります

*4:「WONDERFUL STORIES」間奏の千歌のモノローグから引用

*5:アニメ虹ヶ咲最終回のNEO SKY, NEO MAP!的なイメージ

*6:青空Jumping Heartなので

*7:ココさん(@solare_chika)さんがお教えくださいました。ありがとうございます。

*8:僕はこの記事を書きながらこの動画を見て泣きそうになっています。